ドイツの再軍備が如何に日本を助けたか

ルーマニア代理公使ストイセスコと、その後パプストとが、政談をやりにきた。ドイツの再軍備宣言は確かに一種の震撼を引き起こし、しかもこれがすべて日本にとって都合がいい。欧州の増大を加えつつある緊張状態は、合衆国を別として、すべて極東に利害関係をもつ他の国々の注意を集めた。日本は日英同盟終了以来の如何なる時よりも、外国の干渉からの安全感を抱くことが出来、他国との政治的交渉の点で大利益を得た。昨日天羽は日ソ不可侵条約について何らかの措置が取られたということを否定した。事実、現状では、日本はそんなふうなものを必要としない。各種事情の進展は、直接日本を裨益している。天羽はまた、日本はポーランドとの間の若干死滅したような非公式了解以外には、何らの同盟も協商ももっていないと述べたが、われわれは日独間に意見と情報の密接な交流のあることを認める。だが、これらは煙霧的で、大切なのは、いまや日本が「済ましこんで」欧州各国が極東に頭を使うには余りにも自分の国のほうが忙しいことを確信して、多かれ少なかれ、勝手なことがやれるという事実である。この情勢は米国の外交をちっとも容易なものにはしない。