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壬生義士伝 上 (文春文庫 あ 39-2)

壬生義士伝 上 (文春文庫 あ 39-2)

明治より前の武士階級の給与体系は以前によんだ武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)が秀逸。最大の矛盾は、当人の能力、成果ではなく「祖先の成果」に対して給与(禄)が支払われていること。故に、いくら能力があっても薄給で苦しむことになる。
この小説の主人公は実在した新撰組の隊士で、能力、人物との秀逸であるにも関らず家柄による貧乏に耐えられずに脱藩、新撰組へ。本人の述懐、隊士仲間が語る人物像をとりまぜる展開。
周りが語る主人公像と、本人のせりふの乖離が大きい。この差分をどう捉えるか。やせ我慢ととるか、そういうものととるか。