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私の中の日本軍 (上) (文春文庫 (306‐1))

私の中の日本軍 (上) (文春文庫 (306‐1))

私の中の日本軍 (下) (文春文庫 (306‐2))

私の中の日本軍 (下) (文春文庫 (306‐2))

著者は陸軍の士官として砲兵隊に配属、フィリピンで終戦。兵隊さんというと、小銃を構えてトツゲキーってなイメージがあるんだけど、これは映画やマスコミの影響。実際には著者のような砲兵もいれば、輜重兵もいるわけでそういったイメージで先の戦争や、日中戦争をとらえるとえらい間違いを犯すことになる。
そういう旧軍に関する一般知識というものは戦前の一般社会でも常識として捉えられていたわけではなく、現代のわれわれとそう変わらないみたいで、演習の一部として風速計測していた著者を捕らえて、「いいねーこの兵隊さん。風車で遊んでるよー」と子供に話した農婦のエピソードにあらわれている。

佐官というと、なんだかとてもエリートな感じがするけれども、実際としては全然違うし。私刑が日本人の生態とどうリンクしているかなど、軍隊生活に限らず日本人の生態にも踏み込んだ観察眼を読むだけでもいいと思う。