秋刀魚の味

という映画をみました。ビデオで。言わずと知れた小津安二郎監督の遺作。淡々とした台詞回し、感情を一切感じさせない笠さんとか、実は恩師役の東野英二郎が年下なんだとかそのあたりはいいとして、この作品、昭和37年作。45年ほど前の映画ですが、45年でこれだけ風俗ってかわってくるんだという妙なところに関心した。

セクハラ発言?

笠智衆演じる平山周平は多分横浜あたりの発電所か製鉄所の偉い人。秘書みたいな人に、年齢を聞いた上に、まだ結婚しないのかという発言。「母と二人ですから」という答えに、「じゃあ、そのうち婿取りだ」と。いまじゃNGですねぇ。

トマトを借りるって

平山周平の息子平山幸一(佐田啓二)は団地住まい。その奥さんが隣家から「トマト」を二つ「借りる」。あれ?貸したんだっけ。まだ日が高いのに。買いにいかないの?

鍵かけないのか

上記の団地にしても、平山周平が、娘(路子)ともう一人の息子と暮らしている家。昼間、誰かが家にいるときには一切鍵をかけないらしい。団地に幸一の友人が尋ねてくるシーンでもいきなりドアを開けて「ごめんください」だからね。

仕事何時までなんだろ

平山幸一さん、多分30歳ちょっと前という設定なんだろうけど、18時前に帰宅が普通らしい。22時前に帰って、かみさんに「遅かったのね」と小言を言われてた。*1

結婚観が

まぁ話の筋は、平山周平の娘の路子が嫁にいって、周平さんはかみさんもいないし寂しいねってことなんだけど、前述の周平の秘書っぽいひと、それに路子が好意を寄せていた幸一の同僚にせよ、ぽんぽんと結婚していく。
路子さんも結局は周平の友人のもってきた縁談ですんなりまとまってお嫁入り。なんだか子犬でももらっていくような。

旧軍の軍人がごろごろ

周平さんは旧海軍、駆逐艦の艦長。多分大尉〜中佐のどこか。その部下も出てくるし、最後のシーンのバーで周平さんと居合わせるお客もおそらく元軍人。戦争終わってから20年も経ってないんだからそりゃそうか。

あんなとこ

平山周平他がクラス会をやって、恩師の佐久間(東野英二郎)を車で自宅まで送っていくシーン。その後の会話で「先生があんなところに住んでいたとは知らなかった」と。「あんなところ」って多分「貧民窟」っぽいニュアンスだったが。舞台は東急の池上線沿線なんだけど。

*1:実際には佐田啓二、この時32歳。中井貴一は3歳。