平和はいかに失われたか―大戦前の米中日関係もう一つの選択肢

平和はいかに失われたか―大戦前の米中日関係もう一つの選択肢

1935年に書かれた米国の外交官で、駐華大使のジョン・マクマリー氏がかいたメモランダムにウォルドロン海軍大学教授の解説をつけた本。ウォルドロン教授の解説が第一部、マクマリー氏のメモランダムが第二部という構成になっています。この本がでたのは1997年。10年後の現在でもウォルドロン教授が指摘しているとおり、アジアの外交関係は日中を軸にして動いているのは100年前から変わっていないようです。

メモランダムは米国の外交官として書かれているのであくまでも極東地域における米国の振舞い方をどのようにするかが結論になっています。当時の極東にかかわっていた各国の状況、情勢などが克明に分析されています。日本については、日清戦争から第一次世界対大戦にかけて日本が大陸に確保した利権をどうやって保とうとしているのかが描かれていて興味深いです。当初は列強による国際協調体制をとっていたのが、英国や米国が中国に対して「抜け駆け」を多発するにいたって、外交のもうひとつの手段である軍事力を用いて利権を確保するにいたったとのこと。大東亜戦争の発端は結局はこの大陸の利権がそもそもの原因になっていたことがよくわかります。