外交官の仕事と遊び

保土ヶ谷ゴルフ場で昼食をとり、スダンダード石油会社のグールド、デニソンおよび私の秘書官のパーソンズとゴルフをした。非常に劇的な試合だった。スタープレヤーのデニソンと私の組は、後の九ホールを勝つために、パー四の十八番でベストボールもアグレゲート(合計点数)も両方勝たなくてはならなかった。パーソンズはバーディ三でホールインし、デニソンはグリーンからたっぷり三十ヤードもあるところからチップショットをボールを竹の旗竿にあて、イーグル二で真直にホールに入れた。これでわれわれはベストボールに勝ったわけだが、まだアグレゲートも勝たなくてはならなかった。グールドと私の二人は不出来だった。グールドは四回目でやっとグリーンの上に、一方私も同様四回目でまだグリーンから五、六フィート離れたところにいた。驚くべきことに、私の廿フィーとのアプローチは冬の荒れたグリーンの上を走って五回目で見事にホールに入り、一方グルードも五回目でホールインした。かくして私の組はきわどい瞬間に二つの奇蹟的とでもいうべきショットで、完全にわれわれの敵に苦い思いをさせてこの日の勝利を獲得した。こんな出来事がゴルフの面白さの半分を占めている。ゴルフといえばコンスタンチノーブルでは、かっちり屋の実業家達から、大使館の人達は彼らのように九時から六時まで机に向かっていず、「本当の一日の仕事」というものに馴れていないといって、相当いやらしく痛めつけられたものである。だが実業家連中は、ひどくそしられるわれわれ外交官が、まったくのところが二時から五時までゴルフをすれば、それは私にとって、五時以後何時まででも働くことを意味する。先週三回、アリスと私とは十二時近く、寝入りばなを事務所からの電話で起された。電報が届いたのであり、そのある物は一国も棄てて置けぬものであった。家庭にいてひまな晩には、私は実に多量の読書をしなくてはならぬが、それらはもし私の仕事に無関係ならば、夢にだに読もうと思うものではない。それ以外の晩には公式の晩餐会に出なければならぬが、これが概して自分の机に坐って時計の針が六時に近づくのを見つめているよりも、よほどつまらないものなのである。私は外国にいる普通の実業家の執務時間は、われわれのsれを越すかどうか、疑問に思う。

なおゴルフのことを話すと、私はコンスタンチノーブル・ゴルフ倶楽部のスコア・カードに、大本気で印刷してあった規則を思い出す。曰く「パッティング・グリーンの上の太陽による裂目、馬蹄のあと、または車の跡に落ちたボールは、ペナルティなしに動かすことを得。」近くで練習するトルコの騎兵や野砲兵は、ゴルフ場に反感を持ち、それが鉄条網でほごされているにもかかわらず、雨の後で地面が柔らかくなった時、ゴルフ場に馬を駆ったが、必ずパッティング・グリーンズを中心としたものである。ゴルフ奨働ともいうべきか。