廣田、ルーズヴェルトに応酬す

廣田の議会演説について打電。彼は名前をあげず「外国の政治家」が、実情を知らずに他国に関する法律を規定することを批評して、大統領の国会での演説に一種の応酬をなした。もちろん日本人は廣田が米国人どもをやっつけたといって、彼にいい点数を与えることだろう。廣田のそれに関する言質は−

「遺憾なことに、外国には世界が如何に整頓すべきかについての個人的確信を他国にしいようと決心し、彼らの命令に反するものを平和攪乱者として攻撃する傾きを持つらしい有名な政治家が何人かいる。自国の国家的抱負と国として負うべき義務とを知るのみならず、他国の立場をも了解し、認識するものでなければ、世界平和を論じる資格はない。他国の立場を了解し、認識することは、往々にしてその国の文化と文明を了解し、認識することによって遂げ得る。われわれは過去において輸入した西洋の芸術と科学を、われわれの文明につけ加え、適応させることによって国力と威信を打建てることに成功した。いまやわれわれがわが国の芸術と文化を他国に輸出し、かくて国際的のよき理解と、世界文明の肥沃と、人類の平和と幸福の増進に貢献すべきときであると自分は信じる。」