ルーズヴェルトの年頭警戒が如何に日本に打撃を与えたか

大統領が議会に送った教書は、長い引用句を伴う広範囲な適用として発表されたが、日本語新聞は何の論評もつけ加えていない。外務省が日本の新聞にあるものが必ずほしいままにしてであろう誹謗的反動を避けるため、工作したものらしく思われる。天羽その他はまだ教書を読んでいないと逃げた。大統領が「そうすることを欲する国家はその足に靴を合わせるがよかろう」*1といったことは、正に堂々たる一撃である。

明らかに伊独日の三国を目標として、大統領は相当にあからさまなことをいっている。曰く「米国民が戦争の悲劇に進む多くの要素を持つ悪意の増大と侵略への顕著な傾向を認めざるを得ぬ点に達した。」「拡張を、過去の戦争が惹起した不公正の改訂を、通商、人口の排け口を、文明の進歩への彼ら自信の平和的貢献を、探求している国々は、穏かな交渉と、世界正義の清明な本能に訴えることによって、合理的かつ合法的な目的を獲得するに必要な忍耐を示すことに失敗している。これらの国は従来、性急にも剣を法律とする古い信念に復原するか、あるいは彼らだけが使命を遂行すべく選ばれたものであって、他の諸国は彼らから学び、彼らに支配されねばならぬのだという、荒唐無稽な考えを抱いた。私は熟慮して選んだ私のこの言葉が、この靴をその足に合わせようとするどの国にとっても、評判よくはあるまいことを認める。……私は諸君に、世界の人々が直面する現状が、どんなにも重大なものであるかを強調する。平和は、多くのものではないが、少数の者によって危険にさらされ、自分かってな権力を求める者によって脅迫されているのである。」

私はこれを勇気ある政治手腕と呼ぶ。この教書が、大統領が望んでいる中立法と軍備予算の通過を助けること以外に、何らかの本当の効果をもつにせよ持たぬにせよ、この言葉はこれが向けられた者たちの意識と良心とに、深く刻み込まれるにきまっている。これは日本の中国侵入を停止させはしないだろう。戦争に負けること以外、これを止めるものは何もないからだ。しかしこれが日本の方策と戦法とに節制を加える力になることは考えられるし、あるいは一時的にせよ、あの運動を緩慢化させることが出来るかもしれない。日本人はスティムソンを好かなかった。だが彼らは、ルーズヴェルトが大海軍主義の人として、どういう好みを持っているかは知っている。そこへ持ってきて「いまや米国民がこのことを認めざるを得ぬ点に達した」ことの、公開的警告である。日本人はこの次の大統領選挙で共和党の勝利を祈ることだろう。

*1:訳注:嫌なり応なり勝手にするがよかろうの意