プリンス近衛殺人事件

プリンス近衛殺人事件

著者アルハンゲリスキー氏は、ソビエト体制下での著名ジャーナリスト。自身、対独戦争に少年兵として参加し、戦争中に親兄弟を亡くした。しかしそれが戦死なのかか、どこで戦死したのかが不明だという。党や軍に問い合わせても不明。ジャーナリストとしての地位を生かし膨大な公文書を調査するうちに、日本人抑留者の資料の中から近衛文隆氏の資料を見つけ出す。本書内でははっきりとはかかれていないが、著者は近衛文隆氏は1956年10月(ポツダム宣言受諾から実に11年後!)不法に抑留された上に殺害されたとしている。それだけでなく、調査資料を元に、戦後のシベリア抑留者は105万人以上、そのうち死亡者は37万人以上と数字を挙げる。広島市での米軍による原爆投下による死亡者は約14万人と言われており、そのおよそ2倍の日本人抑留者が不法にもシベリアで命を落としたのだ。実に驚くべきことだ。