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- 作者: 鶴見俊輔,加藤典洋,黒川創
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/03/29
- メディア: 単行本
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多分後ろの方の回想録、黒川氏の解説、鼎談の順番で読んだほうが理解しやすいんじゃないかと。
国と国とが戦争状態になると、当然国交が断絶されます。国交を断絶するということは、当該国間での人間の行き来ができなくなるということ。そういう状態になるとお互いに中立国を利益代表として立てて、お互いの国にのこされた自国民を中立地帯を介して交換するということをやるそうです。これが交換船。この本に取り上げれらている日米交換船の場合は、日本はスペイン、米国はスイスを利益代表にして話し合い、中立国であるポルトガルの植民地だった東アフリカのロレンソマルケスで交換。日本を中心にしてみると、本土だけでなく、満洲、朝鮮半島にいた連合国側の外交官や新聞記者、商人などを一旦横浜にあつめて、そこから浅間丸で東アフリカに向かう。中国大陸の南部にいた人たちは、上海から別便で東アフリカへ。
ロレンソマルケスについた交換船は、そこで乗せてきた人たち(連合国側の人たち)をおろして、米国側の交換船に乗ってきた邦人を乗せて、日本へ折り返す。
第二次世界大戦は文字どうり世界中の国が戦争に参加(戦闘には参加してないけど)していたので、「中立国」といってもほんの少数しかなかったようです。この戦争相手国にいる自国民を交換するという習慣は欧州で定着していたようですが、日米双方とも第一次交換船のときは初めての経験だったようで相当苦労したみたいですね。
日米間では2度交換船が行きかい、およそ3000人ほどがそれぞれの国に帰国したようです。今だと桁が3つほど違うだろうから交換もなにもできないでしょうね。